2014年8月25日月曜日

Intel IsraelがAcceleratorの特許を出願している (前置き)

以前、旧blogで、Intelの特許を元ネタにした:

[旧blog] Skylake Microarchitectureの方向性?
http://microboy.seesaa.net/article/358592842.html

という記事を書きました。

上の記事では、SkylakeはGPUとCPUの一体化を推し進める方向性であることに注目しました。そして、Intel (Israel)から特許として、CPU core内にvertex processing unitとpixel processing unitが統合された構成例のものが出願されていることついて触れました。この記事は、いま見れば古いですが、当時はAVX3/-512が未発表でした。SkylakeがGPUとCPUとの統合を強化する方向性であるとの認識も世間にはあまり浸透していませんでしたので、当時としては早い記事です。

とは言うものの、記事を書いてわずか2ヶ月も経たない2013年6月末くらいに、Intelの512-bit SIMD拡張の計画が独経由のleakにより明らかになりました。これは当時AVX3と呼ばれていてました。もっと細かく言うと、Knights LandingがAVX3.1、SkylakeがAVX3.2に対応するという話です。このときのleakでは、Haswellが16 DP/cycleであるのに対して、Skylake XeonがAVX3により32DP/cycleになり、2倍のDP throughputを達成するとされていました。
http://abload.de/img/einleitunghezdo.png

AVX3は、そのすぐ後の2013年7月23日にIntelから「AVX-512」として正式に発表され、documentも公開されました。

AVX-512の実装は大規模な投資ですし、(GP)GPUと高速化の手法や思想がかなり似ており、機能面で被る部分も多い技術です。そんなわけで、AVX-512という拡張がSkylake CPUに搭載されることが発覚した、この時点で、元々GPUの特長だった機能がCPU core内に取り込まれる可能性は殆どあり得ない、というのが常識的な見解となったわけです。


現在では、さらにSkylakeに関して、iGPUの編成についても下記のsite等から非公式な情報がある程度もたらされています。これらを見るかぎりでは、SkylakeのiGPUは既存のGen Graphicsを元に拡張したものと捉えるのが普通でしょう。また、AVX-512がsupportされるからといって、CPUと既存iGPUの統合化の路線も辞めるという様子では無く、共有仮想memoryのがsupportされると言われています。

[CPU World] More details on Skylake processors
http://www.cpu-world.com/news_2014/2014062601_More_details_on_Skylake_processors.html

[CPU World] Some features of Skylake graphics architecture
http://www.cpu-world.com/news_2014/2014060901_Some_features_of_Skylake_graphics_architecture.html

2014年7月18日には、AVX-512について更なる拡張(主にSkylake Xeon向け, 要するにAVX3.2)が発表されました。Intelの公式siteや下記の資料から、Kinghts LandingとSkylake XeonとでAVX-512のsupport範囲に違いがあることも明らかになりました。

[GCC] Intel Advanced Vector Extensions 2015/2016 Support in GNU Compiler Collection
https://gcc.gnu.org/wiki/cauldron2014?action=AttachFile&do=get&target=Cauldron14_AVX-512_Vector_ISA_Kirill_Yukhin_20140711.pdf

ちなみに、Skylakeについては、Skylake Xeon(略してSKX)についてのみAVX-512のsupportが言及されています。consumer向けのSkylake製品については、AVX-512をsupportするのか否か未だに公式の言及が無いので、謎の1つになっています。

これまでの情報だけから考えるとSkylakeのおよその目玉は、
(1) AVX-512の追加 (Xeonのみ?)
(2) CPUとGPUの統合化が一段階進み、仮想address空間は共有化される
であると考えられます。


次回の記事は(本編: http://intelfanboyblog.blogspot.com/2014/08/intel-israelaccelerator_25.html)、Skylakeの目玉は本当にそれだけなのかということに関わってきます。

以上、前置きが長くなりましたが、ここまでが前回の記事(約1年3ヶ月前)からのおおよその経過でした。

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